たっぷり10年以上前のことだが
家からそう遠くない国道の川を挟んだ対岸に、もう一本の道路ができるという噂がたった
そこは細い道が山のほうまで続く、人家もまばらなうらぶれた道で
交通量はすくなく
道を通すには、山を大々的にトンネルで貫通させねばならない

しかもその道ができたからといって、混雑などは緩和されるだろうが
いうほど混雑しているかはなぞだし
そんなに大変な事業で道をつくる意味はあるのだろうか、と思っていた
なにしろ、新しい道路は現在の国道と並行して走り最終的に
トンネルを出たところで、国道につながるという。
腑に落ちないものがあった

計画が死んでいないという話をときどき小耳にはさんでいたが
なんとなく工事をしている様子もなく、すでに具体的な話は消滅し、がせねたとして
地元民の語りぐさにでもなっているものだと思っていたのだが


最近になって、その工事が着々とすすんでいることがわかった
普段全く通らない場所なので、しらなかったのだが
たまたま通ったところ、あたらしい太い道が山の斜面につづいていて
周辺には重機が並び、いかにもトンネルをほっているところだった
まるっきり伝説になったと思っていた架空の道路が、十数年越しに
着工されているのを目撃して変な気分なった
今後注意深く観察しなければならない