友人のつてでプロ野球の観戦に行くことになった
東京ドームで、読売ジャイアンツと中日ドラゴンズが対戦する

おれはスポーツ観戦にはほとんど興味がなく
箱根駅伝と高校野球を風物詩として楽しむ程度なので
プロ野球を見に東京ドームに行くなど一生ないかと思っていたが
貴重な機会になった
結果としてはとても楽しかった


東京ドームの内部に入るのも初めてだった
これが世に言う「東京ドーム何個分」の一個分なのか、と考えた
面積のことを言うときもあるし、体積のときもある
丸ビル何杯分という言い回しもあるが、東京ドームのほうがピンと来る
広大だが、それでも思ったよりも狭いのだなという印象が勝った

隣の座席の人が、大根おろしのかかったコンビニのうどんを食べていた


巨人の本拠地なので、巨人の応援が圧倒的に多い
少なくとも80パーセント以上は巨人の応援勢であるように見える
中日の応援は一区画に固まっている
それでも人数にすればけっこうな数がこの地に集まっているんだな

でかいモニターでは巨人の選手が一人ひとり炎の輪から現れて
バットを振ったり顔がアップになったりする派手な選手紹介動画が流れていた
中日の選手は選手の顔写真と名前の静止画が表示されるのみ。
また、巨人の選手がうまいこと活躍すると、すかさずヒットだとかナイスプレーだとか
これまた派手にエフェクトがかかったテキストがいちいち画面にうつる
球場の装置自体がこんなにも偏って自チームの応援に肩入れしていることに驚く
驚くし、容赦ない感じになんとなく笑ってしまう
中日の打者がファウルをすると、すかさず「ドゥッドゥッドゥ♪」というかんじの
少々間の抜けた効果音が流れる

球場でマスコットキャラクターの着ぐるみが応援しているが
頭がオレンジ色のやつがいるので、ジャイアンツの奴かと思ったら
明らかに顔つきがシンプルで、なんだ偽物か?と思ってよく見たら
佐藤製薬の象のキャラクターがユニフォームを着て紛れ込んでいた


チアリーダーや、グラウンドをトンボでならす手伝いをする子供たちがいた
子供のなかには、モニターに名前が掲示されている人もいたりして
選手以外でも、どこかのだれかの晴れ舞台であるのかもしれないな、と思う

九回になり、勝負があらかた決した様相になってきた
巨人が数点差をつけられて負けていた
観客のなかに、ぱらぱらと帰りはじめる者が目立ってきていた
完全に終了してからでは電車が混むから、すいているうちに帰ってしまおうという
心理からくる現象だろう、テレビの野球中継では映らない切ない状況があった
哀愁がどんどん濃くなっていく会場と試合はこびを最後まで見た