長いこと使っている小型の鞄の、樹脂製の留め具が割れてしまっていた
肩からかけるベルトをつないでいる部品で、まだ保持はしているものの
亀裂がもう一段階悪化すれば一発で用をなさなくなる、ぎりぎりのところだった

気付いたのはもう随分前のことだったが、 ぎりぎり保っているだけに
そのことを忘れたり思い出したり、見て見ぬふりをしたりして過ごしてきた
ふと、年内に修繕してやろうという気持ちになり、替えの部品を買うことにした

「サイドリリースバックル」という名前の部品であることが、調べたらわかった
代替部品もネット通販で買うことができるようだ
頑丈な鞄でずっと世話になっていたし、保全をさぼっていた罪悪感のようなものもあり
また今後使うなかで同じ破損を予防したいという思いから、代替部品を調べたなかで
多少値段は高いが頑丈そうな金属製の部品をえらんで通販で注文した

それが数日前のことで、今日部品が届いた
鞄はめでたく完全な状態を取り戻した


愛用品に手を入れてよりよい状態にすると満ちた気持ちになるね
これは新品の鞄に買い換えた場合では得られない感覚だ

買い換えには別れの寂しさがつきものだしな
それに何でもかんでも部品を取り替えるだけで復活させられるわけでもない
物理的、技術的、金銭的にどうしようもないものも多々あるなかで
工夫によって別れを回避できた充足感なのかもしれない

なんとなく、年の瀬に味わうにふさわしい気分のように思える