小学校の頃のことだが
学校の体育館の天井に、まだら模様の素材が用いられていた
紙の細いテープのようなものを、セメントでこねてへばりつかせたような
見た目で、なんという素材あるいは工法なのかは不明

体育館の屋根は、各辺数十センチの格子状の鉄の骨組みで構成
されており、そのマス目の中にその紙テープこね素材が用いられている



そのマス目のひとつひとつが、絵に見えていた
目の錯覚、錯視的なものと思うが、まだらの具合が、人の顔に見えたり
船が港に停泊している絵に見えたり、アニメのワンシーンに見えたりした
(なんのアニメかはわからない、アニメの構図的な何かに見えていた)
マス目は無数にあり、その多くがなんらかの絵をなしているように見えた

さまざまな絵柄が繰り広げられる体育館の天井を見るのが楽しくて
しばしば見上げて絵を見ていたが誰からも共感を得ることはできなかった


考えてみると、それ以外にもランダムな模様が別の絵柄に見えるということは
しばしばあった、木目が顔に見えるなんていう話はよく聞く話であるし
山の上に生えている木が、鹿に見えたり、ウルトラマンの顔に見えたり
あったが、体育館の天井ほどバラエティーに富んだ図柄地帯はなかった

小学校を卒業して、もう天井を見ることはなかった
中学校の天井は、ちがった素材だった
そしていつのころからか、まだら模様を見ても絵に見えることは少なくなった
小学校の体育館など、今になって行く機会はまったくないのですが
機会あれば天井を確認してみたい気はする
当時なにを見てどう解釈していたのか、さっぱりわからないかもしらんが
まったくべつなものが見えるかもしれないし、同じように錯覚するかもしらん
あるいは体育館建て替えられてるかもしれんけど