薬局に行こうと思って家を出発した

家の前の坂を下り切ったあたりで気付いたことだが
朝食で使った皿とスプーン二つを持ったまま出てきてしまっていた
しかも、財布を持ってくるのを忘れたようだった

薬局の場所がわからないので、とりあえず歩いて薬局の場所を
把握しておいてあとでバイクで出直そうと思い、歩いていると
すぐに書店と大きめのドラッグストアが並んでいるのを見つけた
ドラッグストアは「ニトリ」という名前で
インテリア屋のニトリの看板の色を真っ青にして余白に薬の
カプセルを描き足したような看板デザインだった

店に入ってすぐの階段をのぼると、外見よりはるかに小さな店舗で
そこは大学病院の中にある調剤薬局だった
ガーゼや湿布、包帯なんかが売っていた気がする
奥に薬剤師が二人居た

そのフロアは大学病院の廊下で、幼い頃に来たことのあるところだった
正確に覚えているわけではないが、中を歩いていると確かに過去に
ここに来たことがあるということが随所で思い出された
微妙にスロープになっている薄暗い廊下は確かに記憶にある
医師やストレッチャーが通り過ぎる光景まで思い出された

廊下の先はガラスの自動ドアで区切られていて、この廊下が旧館と新館を
隔てている渡り廊下らしかった
渡り廊下の窓からは古びた病院の薄暗い中庭を見渡すことができた

新館に入るとそこはロビーで、ビニールレザーのベンチが並んでいた
とりあえずこの建物から出たい
大きな案内板があるので見ると、1Fと書いてある
さっき階段を上がったからここは二階のはずなので、おかしいなと思う

フロアを奥に突っ切ると、外の窓から市の公共施設が見えた
その施設と病院と鉄道の駅は煉瓦敷きの歩道(一部地下)で繋がっている
そこから出れば、知った道に帰ることができるなと思った


その施設は実際に存在するが、歩道はおろか病院や駅とも現実には隣接していない
夢の中でもそのことをぼんやりと考えていた
目が覚めてよく思い出せば歩道の場所がわかるかもしれないという気持ちと
これはでたらめな夢だという気持ちが、完全に目覚めるまで頭の中で混在していた