取り返しのつかないことが根源的に世間をとりまいているとおもう
時間は過ぎたらもどらないものであるし、死んだら生き返らない
ものごとは原理的に取り返しがつかないというルールにのっとって
もどれないレールの上をすすみつづけているようにも思うが

質量保存の法則というものがある
この世のさまざまな物質は分子、原子、電子などで構成され
形態が変化しても、つきつめれば何が消滅するわけではない
そこには永劫を感じさせる、取り返しがつくつかないでいえば
取り返しつづけているような世界観みえる
渦巻いている



永遠のものに畏怖や憧れはあっても、愛情はそそげないと思う
どちらかといえば取り返しつかないもの、壊れるもの、失われるもの
に対して愛情をもって接するのが人の常とおもわれる
完全無欠のものに関わるのはむずかしい。
完全無欠のものに愛着がわくとは到底おもえない。

とはいえ科学というものは、理屈と数字で説明のつく完全無欠を
目指しているようだし、省エネの行く末は突き詰めれば永久機関
パソコンは、戻るボタンを押せばいくらでも取り返しがつくシステム。
なんだかんだ言って、取り返しつかないものへの愛とは裏腹に
取り返しがつくものを追い求めているストリームが感じられる
のっぴきならない状況はどうも避けたがる



取り返しのつかないものにしかと目を向けたい
肉を切らせて骨を断つやりかた
今生の別れ
大団円
夜明け