三人くらいの集団で家に帰る道をあるいている
道端に、全身緑色の服を着たおじいさんがしゃがみこんでいる
おじいさんは、亀の甲羅の形をしたリュックサックを持っている

道幅がせまくなる
脇道があり、そこを通ったほうが家に帰るには近道であるが
そこは誰かの私有地で、民間人の通りぬけはできないことになっている
自転車でパトロールをしている巡査が、その脇道に入っていく
警察官は民間人でないから私有地入ってもいいんだな、と思う

三人の話題は、警察官のことになる
この街の警察官の採用試験の倍率は、50倍なんだよ、と一人が言うと
もう一人が、おれのアルバイトのじつに25倍じゃないか、と言う
俺は瞬時に、ああこの男のアルバイトの募集倍率は2倍だったのか、と計算する
口には出さない

家と家の間のせまい隙間から、セダンが道いっぱいに飛び出している
道幅が狭いので、車体の半分くらいで我々を通せんぼしている格好である
邪魔だなと思ったら、急激にバックして家と家の隙間の車庫に滑りこんでいく
高度な運転技術だなあと思う

家に到着する
最近引っ越してきたばかりのアパートで、まだ掃除がきちんと済んでいない
玄関付近にもほこりや土がたまっており
竹箒で地面のごみや、壁についた蜘蛛の巣などをささっと掃く
近所に住んでいるらしき女性が現れ、たいへんねえ、みたいなことを言う