老人ホームの受付で爪切りを借りる
べつに爪がそれほどのびているわけではなかったが、なぜか切ろうと思った

受付の女性がよこした爪切りは、異様に幅が広く
刃の幅が7センチくらいはあった
室内で切って万一爪が飛び散ってはよくないから、ベランダに出る
ベランダにはベッドがひとつあり、老婆が寝ている
ベランダは、上の階のベランダあるいは庇が大きく張り出していて
しかも周囲の建物も高いため、日がぜんぜん当たらない
湿ったコンクリートに苔が生えたような薄らぐらい立地だった

爪を切ろうとするが、切れ味が最悪に悪く、うまく切れない
左の親指から切り始めたが、裂けるように大きく切れてしまい
これはいかんと思い、家に帰って自分の爪切りで切ることにする