確定申告の書類を出したついでに、少し市街地を歩いた
午後三時くらいから夕方にかけての時間で
公園で子供が遊んでいたり、買物をする人、下校中らしき学生がいたりした

買う物があったので、スーパーに立ち寄った
わさび、キャノーラ油、とろろ昆布、山椒を買う
調製豆乳コーナーを見ると、見たこと無い味がいくつか出ていたので
その中からマカダミアナッツとシナモンを手に取ったが
ふと、見たことないやつは全員買おうと思い直し
ラムレーズンと糖分削減麦芽コーヒーもかごに入れた
ツナマヨおにぎりも買った

そことは別な店で、閉店のお知らせの張り紙が出ていた
わりと最近出来た店で、小綺麗で人の入りも良い印象があったので
おどろいたが、まあ事情はいろいろあるのかもしれない
そこでは今日は何も買わなかった


引き続き歩いていると、クレープ屋があった
そこにクレープ屋があることは前から知っていたが、一度も買ったことない
ふだん用のある店や場所から絶妙に外れた位置にあり、近くまで行くことはあっても
その店の目の前を通りかかることは滅多にないためである
おにぎりと豆乳がなければもしかして今日初めて買ってみてたかもしれないな
通りかかったとき、ちょうど客が一人クレープを受け取っているところだった
通り過ぎ、振り返ると、おれのうしろを歩いていた男が店に立ち寄っているところだった
繁盛しているんだな


道端に、 この周辺の案内図の看板が掛かっていた
印刷されたものではなく、トタン板にペンキで描かれたタイプのものだ
錆も退色もなく、さほど古いものではなさそうに見えたが
細かく見ていくと、潰れて薬局になったはずのCD屋がまだ掲載されていたり
ビルが建って無くなったはずの駐車場がそのままになっていたり
件の閉店する店はまだ建ってすらいないという
随分と古い地図を元に描かれたもののようだった

地元のものをこれほどとんちんかんに書くのは考えにくいから
それなりに古い時期に書かれたものが、書き換えられることなく
奇跡的なコンディションで新品の輝きを保っているということなのかな
すこしミステリアスな感じがする


街路樹に新しい支柱が添えられていた
その木口の部分に、品名とバーコードのラベルが貼ったままになっていた
ホームセンターとかで買ってきて組み立てたのかな
かなり新しいことがわかる
支柱は四本の丸太を組み合わせてあり、四本ともラベルが貼ってあったが
その一本にだれかがガムをくっつけた跡があった
悪いことする奴がいるね
しかしそれによって、新しいにしても少し時間は経ってんだろうなと思えた
昨年の終わり頃とかなのかな、時間的距離感の証拠をつかんだ気分になる

それから別なスーパーや百円ショップなどをひやかし、公園でさっき買った
マカダミアナッツ豆乳とツナマヨおにぎりを食べた
考え事をしながら食べたので、あまり味の感想をもたなかった



以前も、この町をこのように特に目的なくぶらぶら歩いたことがあった
その時は、もしその町に自分が暮らしていたらというようなことを想像して
人の生活のある街中に自分が溶け込んでいる気分を味わったりしていたが
今日はどちらかというとドライな気持ちで
昔からある建物のこと、もうない建物、あたらしくできた店、もうすぐなくなる店のこと
俯瞰した気持ちで、物理的なことをよく考えてた

こんな細かな事象はやがてきっと忘れてしまう
だれも覚えてないし、覚えてたとしても言葉で共有されることはない
本来なら記録にも残らない、役に立ちようもない情報ばかりで
そういうものを見れば見るほど、考えれば考えるほどなぞのやるせなさを感じたりもするが
こうして日記に書くと少し気分が紛れる