先日出かけたとき、帰りの電車内で読む本がほしいなと思って
書店に立ち寄って買った怪談の文庫本を、今しがた読み終わった
それを読んでいて、小さい頃に体験した出来事を思い出した
小学校の夏休み、お盆に高知の祖父母の家に行ったときのこと。
家から徒歩5分くらいのところに、曾祖母の住む古く小さい家があった
生活を手助けする親戚が居た気もするが、同居してたのかはわからない
家族の誰かが用があったんだか、たんに帰省した曾孫らの顔見せだったか
午後から夕方にかけての時刻、何人かで連れ立って訪問した
細い路地に面した玄関を開けると、正面に短い廊下が延び
左手に居間、右手に仏間が、それぞれ引き戸で区切られている
仏間の引き戸は上半分が障子、その下にガラスがはめ込まれた襖で
ガラスから中の様子を覗くことができた
仏間は、廊下から見て奥に長い6畳か8畳くらいの部屋のようで
布団が二列、部屋の中心線(廊下と垂直)に頭を向けるかたちで
びっしり敷いてあった
全部の布団だったかは定かではないが、少なくとも何人かの人がそこに寝ていて
向かって左側の布団に一人、体を起こしてこちらを見ている人と目があった
長髪の痩せた男性で、白い浴衣を着ていた
風呂上がりかな、と思ったのをよく覚えている
お盆だし、うちと同じように各地から親戚がやって来ていて
泊まっているのかなあ、とその時は思って
居間の曾祖母に会い、ピンク色のプラスチックのボールを貰ったりした
あとから聞いてみると、泊まっていた親戚など居なかったという
でも確かにこう布団が敷いてあって、こんな人が居たよねと
同行した家族らと確かめあったのだが
だれだったんだろう
それから数年後、曾祖母が亡くなり、無人となった家に入る機会があった
件の仏間を覗いてみたところ
二列に布団を敷き詰めることなど到底できそうもない、狭い部屋であった
いまはもうその家はとっくに取り壊され、跡地には倉庫が建てられ
親戚が物置として利用しているということです