写真のような絵だな、と思う絵がときどきあるが
それについて、目で見たそのままのような絵だな、とはあまり感じないし
目で見たそのままのような絵だな、と思う絵はまた別にあったりする

写真と、実物を目でみるのとはそれぞれ質感が違うが
普段あんまりその違いを意識することは少ない
でも絵になるとそれが顕著に出るようです

錯視というものがあるが
たぶんいま自分のみている目の前の視界は錯視のオンパレードで
目の端にうつる像の不確かさ、そっちに目線をうつしたときに
すっと確かな像になる感じ
目の端にあるときは、「なにかがある」くらいにしか見えていない
色も形もよくわからない存在感だけを目が捉えてる
本当はゆらゆら動いている木の葉も、目の端では止まってるように見えてる
それでもしゅっと横切る小虫には敏感に反応する

写真には現実を写しとったもの、保存するもの、という感覚がどこかあるから
目で見たものをそのまま固定化している、というふうな
感じがしてしまうが厳密にはそうではなく

写真のようなぼやけ方、空間の歪み方、ぶれ方、隅々までの鮮明さ、色合い
厳密に見ることができるが
目で見たような絵は、もっと不確かなもので、その瞬間の画面全部の要素を同時に
見ることは出来ない。ふわふわ変化している時間内でふわふわ目線を動かして
見れなかったものは見れなかったままだ
見れなかったものを見れなかったままに描いたぼんやりした光や線に
たしかにこう見えてたんだろうという手応えを感じる
描いた人が、目の前で起こっている現象に応じていることが伝わるようで
そういうものを見ると面白いなとおもう