今日は友人が釣りに行くというので同行させてもらった
見知らぬ離れた土地の田舎の何もない川べりに
釣りのために行くだけだから釣りをしないなら暇ではないかと
忠告も頂いたが暇をすることはあるまいと思って、参加した
実際に暇をすることはなく、面白かった

天気がよく、雲一つない澄んだ空気で風は強かった
厚着をしていったので寒くもなく、釣りをする様を見たり、そのへんを散歩したり
段差に座ってメモをとったり絵を描いたりして過ごした

広い田んぼの多い土地を流れる川で、普段の生活圏の環境とは随分異なる
そういう場所にぽんと身を置くことで、普段なら思いつかないようなことが
頭をよぎったりする
それは今日のこの時ここを訪れなければ永久に思いつくことはなかったものかも
しれないと思うと見知らぬ土地で過ごす時間にかけがえのなさを感じる


川べりにからすうりがなっていたので、いくつか採取した
からすうりは前にどこか庭に植えたっけかな?
ポポーとあけびは植えてあるが成長は芳しくない
一応からすうりも適当なところに植えてみることにする


釣り地点から2キロ弱の距離に道の駅があることがわかったので
行ってみることにした。パンフレットをもらったりスタンプを押したり物産を物色したりした

道の駅やパーキングエリアなど、普通は車でしか行かない場所に徒歩でやってくる時
特有の妙な気分というものがある
居心地が悪いような、他の来客と自分が別世界の人間であるかのような
調味料が何か一種類抜けた料理を食べているような、なんとも
上滑りするような不思議な気分で
それはまさに寝ているときに見る夢の質感とそっくりなのだった
証拠を集めるように、地元の広報誌類を貰ってみたりする

道の駅から戻ったころ、友人が釣りを切り上げるというので帰ることにした


縁もゆかりも用も目的もない土地にぽんと身を置く体験はあまりないのではないだろうか
川べりの殺風景な土地の記憶が白日夢のように思い返される
今までも、これからも永久に用がないかもしれない場所をじっくり歩いた記憶は
もしかしたら、縁やゆかりや用や目的があった土地よりも強く印象に残るかもしれないと思う
日本に無数にある、自分にとってなんでもない土地のなかで
特別ななんでもない土地が発生した。用もないのに思いを馳せることができる