寝ながら本を読んでいた
地図に関する文章の本で、文中で都市地図が図版として引用されていた
スーパーやガソリンスタンドが記載された、おなじみの色合いの地図のなかの
「木曽路」という表記が目にとまった
フォークとナイフの記号がついているので、飲食店であることがわかる

木曽路という店を、どこかで見たことがある

引用された地図は縁もゆかりもない場所のものだったが
確かに記憶の中のどこかの街角で「木曽路」の文字を見たことがある
鈴廣かまぼこのロゴに似た書体の木曽路という文字の看板を
どこで見たかわからないのに、なんとなく思い描くことができた 

不思議な気分だ
そんな店があることも、今まで意識したことすらなかったわけだから
知らない場所の地図の中の文字列に、どこだかわからない店の外観の記憶が
かすめるように思い起こさせられたことに、はっとした
寝るとこだったのに、はっとしてしまった……
はっとしたので、インターネットで木曽路を検索してみた

けっこうあちこちにあるチェーン店だった
しゃぶしゃぶを中心とした和風レストランであるらしい

今まで、きっと何度か木曽路の前を通り過ぎることがあったのだろう
それでも「木曽路が飲食店である」ことや
「木曽路で何か食べる」という選択肢が頭にのぼることは多分一度もなく
目をすり抜けていく景色の一部として見過ごしてきた
しかしそんな中でわずかにわずかに蓄積された見覚えの残りかすのようなものが
引用された地図によってふいに実体化した
そういうこともあるんだな


最近はグーグルマップの世話になることが多く
都市地図あまり開く機会無くなってきていたが
あの各種商業施設から交差点名から行政機関までびっちり書き込まれた地図は
なにか記憶がスパークする引き金になりうるものかもなと思った
時々用もなくぱらめくりしてもいいかもしれない

あと木曽路には一度行ってみてもいいかもしれない