家の窓から、ミンミンゼミの鳴き声らしきものが聞こえてきたので
もうセミが鳴き始めたのか、早いなあと思って耳をすましていると
声質はミンミンセミにそっくりだが、妙なことに気付いた
鳴き声はミンミンとリズミカルなものではなく、気まぐれにぶつ切れに
聞こえてくるし、鳴き声に合わせてモーター音のような音も一緒に
途切れたり鳴ったりしているのが聞こえる
正体は、どうやら遠くのほうで動力付きの芝刈り機かチェーンソーかなにかで
植物を伐採している音のようだった
モーター音と木だか草だかを刈る音が土地に反響したりなんだりして
セミっぽく聞こえていたらしい。不思議なかんじするが
たとえばチェーンソーだとして、それが駆動する音にしたって
中の歯車やチェーンが摺動する音、ゆるんだ部品がカタカタするかもしれんし
部品の回転による振動もある
木や草に当たるにしてもいろいろな草に同時に当たるかもしれないし
その負荷によっても音は変わる
部品によってはブーンと鳴っているかもしれないしキーンかもしれない
一つの機械が出す音にしても、多くの音が混じった結果あのジュイーンという
音になっているだろう
たとえばその中にも比較的小さな音もあれば、激しい音も混じっているはずで
小さな音は遠くからは聞こえないが、激しい音は遠くでも聞こえますから
一つの音の中から、遠くまでよく響く音だけが距離によって精製され
そしてその音が、たまたまミーンという音だったということも考えられる
明らかに声質はセミそっくりだった
それともただ単にミーンという音の出る器具だったのかもしれないけどな
あとでジョギングで道を通った時、ドクダミのにおいがふっと匂う場所があって
やっぱり草刈ってたのかなと思った