空気認識力が低下していると思っていた
小さいころ、春になったときのにおいや、夏に雨がふってきたときのにおい
スーパーマーケットのにおい、海に近いにおい、よそんちのにおい、夜のにおいなど
匂いについて非常に敏感に感じ、あざやかにかぎわけていたことを思い出す
いつの頃からか。そういうのが少なくなってきてる


行動範囲が広がり、いろいろな匂いをかいだし、膨大な匂いの種類を知って
慣れて、空気の匂いなぞに意識を向けることがなくなってしまったのか
日常生活に於いて空気の匂いをかぎわけることの必要がないため退化したのか
嗅覚そのものが、にぶっているのか
 
わからないが、そういう匂いの感じは幼少時のほうが強かったように思う



匂いから記憶を呼び覚まされるという経験がある
プルースト効果というものらしいが、匂いと記憶は脳内現象として密接に関係
しており、視覚や聴覚なんかより性格で鮮明に記憶を引き出すという。
なつかしい匂いを嗅いで、記憶がばっとワープしてくるような感覚はよくある

幼少時にかいだ空気の匂いをよく覚えてるということは、その匂いを今かいだら
当時の出来事がすっと呼び起こされるということだろう
いま空気の匂いに敏感になれないということは、いつか未来に匂いをかいで
いまを思い起こすことがより難しくなるという可能性がある

昔のことはよく覚えているが最近のことはよく忘れる
といった話はよくきくが、匂いに対する敏感さが失われているということも
無関係ではないかもしれないと思える



先日、夜の荻窪にいたんだけど
雨上がりの町の夜の大通りの匂いが妙に密度高く感じられて
自分の嗅覚の鮮明さに、すこしうれしい気分になった

関係ないが
むかしテレビで、香水作るプロフェッショナルが、空海の巻物かなんかから
匂いをかいで、空海の匂いを香水で再現する、という試みをやってたことがあって
匂いのこと考えてるとだいたい最終的にそれを思い出す