おれはかなり長い間、セロリが食えなかった
ずっと人間のくいものではない味がするとおもっていた

年に一度くらい、もしかして食えるようになってるんじゃないかと思って
挑戦しつづけていたが、本日食したところ、なんと食えるようになっていました
ちゃんと食い物の味していたし、なかなかうまいとさえ感じた
いつのまにか何か壁を乗り越えていたようだった


あれほど酷い味だとおもっていたものがすんなり入ってくる感覚は妙だった
不思議なものだ
嫌いだったものが好きになる、というのはありえることだと思うが
食べても食べてもまずいと感じたものが、あるときうまいと思えるようになったのは
心境の変化というのとは別種だ、もっと身体的なシステムの変化に思える
自分のなかの部品を取り替えられたような心地すらする
人間の体の細胞は、一定のペースでいれかわっているという
早くサイクルするものも、長持ちするものもあるらしいが一説によるとおよそ六年で
体全体の細胞が総入れ替えされるくらいのものだという
いつのまにか、セロリをまずいと感じる細胞が消滅して
セロリ食えると感じる細胞が発生したのだろうか?
そんなかんじにも思えてくる


なんかの細胞が寿命をむかえて消えて、新しい細胞がどっかで誕生してる
自分から失われるものとあたらしく発生してくる要素について考えが向く
変化が微細すぎて気づかないことがほとんどと思うが、あるとき自分の変化に
はっとするときがある、今日のセロリの一件のように

これでだいたい食べ物の好き嫌いはなくなった