古いニュースか何かの映像を見ていた
白黒の映像をアナウンサーの声が解説している
アナウンサーの発声について、昔っぽい喋りだな、と思ったが
その昔っぽさはどこからきているのかということを考えてた

はきはきしゃべっている
現代のニュースなどを見ていると、その話しぶりは抑揚があり、なめらかなものだが
白黒のころのニュースのアナウンサーの喋りを聞いてみると
どうもかくかくしているというか、ロボットのように単調に、あんまり感情こめずに
努めてそうしているように聞こえる
アナウンサー独特の喋り、というようなかんじする


アナウンサーというのはいつの時代も聞き取りやすく話すものだ
時代によって、聞き取りやすさの質が変わるということだろうか

そう考えると、機器の進歩がかかわっている可能性がある
昔の録音機材、また各家庭のテレビの再生音質が悪かったため
より聞き取りやすくするため、過剰にはきはきしゃべっていたのかもしれない
現代は音質がきれいに安定しているから、人力で強調する必要がなく
より自然に耳に入るなめらかな喋りに変化していったのかもしれない

だとすると、放送の進化の過渡期には
おだやかでなめらかな口調が特徴的なアナウンサーや
昔ながらのはきはきした口調で些か耳障りなアナウンサーが
混在していた時期もあったかもしれない
それともアナウンサーの養成学校みたいのがあって時代ごとに
その時々にあった口調というのを教えこまれるのかもしれない



技術やメディアの性質がその時代の気配をつくっている
気配の中にいる間はそれがどんなものかいまいちわからないが
技術やメディアに革新があったとき、かつて取り巻いていた気配が
どんなものだったかわかる
昔っぽいと思えるようになってくる

気配、基準点となるものがある
いまを基準として、かつて取り巻いていた気配をみる
かつて基準だったものがどんなものだったか