最後に見た施設は、実験器具を製造する工作設備のある棟だった
研究所のなかには、一般に流通している器具だけでは不十分で
それ用に実験器具から作り出さないといけないものも多いという

見たこともないような巨大で古い工作機械が、広々とした工場内に
いくつも置いてある、ハイテクなコンピューター制御のものも多かったが
目をひいたのは古めかしい鋳物の巨大ボール盤、旋盤、フライス盤など
まさに機械といったような物体、それも頻繁に使用されているふうではなく
はじのほうで時々くる出番を待っているような様子だ

数年に一度しか動かさないような特殊な機械も多いという


機械に3Dデーターを読み込ますと、勝手に加工してくれる便利マシンが
いくつもあり、駆使すれば大概のものは正確に作り出すことができるだろう
あまりにでかいものは作れないとしても、理科の実験のイメージから想像するに
充分すぎるくらいの設備があった



機械は、その物体のすべての部分において正確である必要は無い
役割を果たす部分が正確につくってあれば、それ以外のたとえば概観などは
機能に支障がないような形でいちばん簡単につくれる形状にするという
「同じ機械をつくる」ことが、それをそっくりそのままコピーする、ということには
かならずしもならないということです

たとえば同じ実験器具がほしくなったのでまた作ってくれと言う注文が
くることがあったりするらしいが、機能に必要な内径、容積などが正しければ
見た目がちがっていても同じ器具として問題は無い
そうか、と思う

同じ、の定義について
なにをもって同じと定義するかの距離感の違いをかんじた
ものをつくっているということに関しては、そうかわるもんではないが
どこに同じの厳密性を求めるかは場面それぞれということだな

しかしノウハウ。職人は徹底している
勘、判断、非常に有機的に精度あげてる感がすごく感動的
ロボットを見学したあとだったから余計にそう思ったかもしれない