高知に行ったときのことをもう少し書いておこう
 
往路は夜行バスにした。夜行バスが好きだからね
昔から高知に行く交通手段の定番は夜行バスで
途中で停まるサービスエリアの夜や朝の空気の良さ
車内前方で緑色にぼんやり光るデジタル時計
カーテンの隙間から過ぎ去るナトリウムランプと知らない町の明かり
朝到着してろくに店も開いていない高知駅周辺の雰囲気
などなど魅力はたくさんある。
 
停車したパーキングエリアでは必ず降りたい。
景色を見たり、スタンプを押したりするからな
なおかつ、窓際に座りたいとなると
四列シートだと、通路側の人にパーキングエリアのたびに
迷惑をかけることになるので三列独立シートの車両が望ましい。
 
三列のほうが、贅沢なつくりのぶん料金は多少高くなる。
そして、車内にトイレがついていることが多い。
トイレがついたバスは、トイレ休憩の必要性が少なくなるから
パーキングエリアに停まる回数が減るというデメリットがある
停まったとしても運転手交代や運転手の休憩や時間調整のためだったりして
乗客が降りることができない場合もある。
せっかく乗り降りしやすい高級なバスに乗っても
それによって失われる魅力もまたあるということで
なかなか、痛し痒しといったところである

今回は、乗りたい日程でバスを検索した中から
唯一あった三列独立の便を予約した
四列のバスにもトイレが付いていたので
それならば休憩回数もそう変わることはないだろうと判断した
 
残念なことに、予約時に座席の指定ができなかった
三列シートだと、左右の席は窓際だが
真ん中になってしまった時は目も当てられない
これは三分の二をひくギャンブルだな、と思って戦々恐々としていたが
当日無事左側の窓際が割り当てられたのでほっとした
バスタ新宿を夜9時過ぎに出て、高知駅に朝9時に着く予定。
 
やはりというか、パーキングでの休憩は少なく
夜の海老名と朝の吉野川だけだった。

そして更に悲しいことに、バスの乗り換えがあった
乗っていたバスは香川方面に向かうもので
高知へ向かう人は、早朝に徳島で別便に乗り移る必要があるとのことだった
おそらく予約の時点でその旨明記されていたものと思うが
三列独立がこの一種類しかなかったから見落としていた
しかも乗り換えたバスは四列シートだったので
めっちゃ損した気分になってしまった

とはいえ、乗り換え場所となったバスステーションは
インターチェンジ付近の殺風景な国道沿いで
まだ薄暗い朝五時頃、乗り換えたバスの発車まで30分ほど
待たされたのだが、それが案外良かった
バス運転手が休憩スペースでタバコを吸っていて
ぽつんと一軒だけあるローソンでは唯一居る店員が品出しをしていた
ガムと飲み物を買おうと思って、店員に声をかけると
「現金ですか」と訊かれた
 
キャッシュレス決済で、と答えたら
レジのタッチパネルを自分で操作して
支払う仕組みになっているとのことだった
そういうコンビニは何度も利用したことがあったが
不思議とその可能性にまったく思い至らず
なぞの意外性を味わった
 
 
こうして振り返ってみると、何もなくすんなり高知に行くバスより
かえって良かったんじゃないかという気すらしてくる
体験する出来事が増えたわけだからな
まあ今後乗り換えありの便があったとして、選ぶことはないと思うが……
それ故に、今回の体験が少し輝く
 

 
帰りは格安航空会社の飛行機を予約した
夜行バスはまあ片道で充分だろうということで
 
見てみるとなんと夜行バスの料金よりだいぶ安かった
時間も短時間で、空まで飛べてなおかつ安いんだ。
まあ夜行バスに乗りたかったんだから仕方ない。

 
しかし、夜行バスに求める要素を充分味わえたかというと
ちょっと微妙なとこではある
なにが足りなかったんだろう、やっぱパーキングかな
 

言うだけタダだから希望を書き連ねさせてもらう
 新宿をなるべく遅い時間に出発する夜行バスで
 車両は三列独立、なんなら二列にして小部屋みたいに仕切ろう
 後ろの乗客に気を使わず全開にリクライニングができ、  
 気兼ねなく飲食もできる環境に。
 トイレはついていてもパーキングやサービスエリアにこまめに停車。
 少なくとも5回くらいは停まってほしい
 深夜でも遠慮なく停まってくれて構わない。
 夜通しカーテンを開けておいてよく、夜の車窓見放題
 高知駅へは素直に早朝着いてくれてもよいが
 時間的に無理があるのならばいっそパーキングに寄りまくることに
 時間をかけ、多くの商店が開き始める10時あたりに到着するんでもいい。
 
そんな夜行バスがもしあったなら
と思ったけど、これは自家用車で自分で運転すれば
ほぼ叶えられる願いであることに気付いた
 
なるほど…
それもけっこう大変なことだけどな